ギター上達には「本当に身体は上手に動いてますか?」と疑うのが大事

2018年2月28日ギター, レッスン, 生き方, 音楽

感覚を言語化して認識してみよう。

ギタリスト、ハヤエモニストの北島健吾です。今回の話は「なんとなく思うようにギターが弾けていない」という方にとっては大きなプレゼントになると思います。すでに知っている方もいるかも知れませんが、知らない方にとっては全く考えもしなかった領域の話だと思います。特にギターばかり真面目にやっていると気がつかないことかも知れません。




不器用な人と器用な人

僕は定規を使えば線を引くことができるのに、フリーハンドだと全く綺麗に線を引くことができません。絵を描くときもそうですね・・・。トレーシングペーパーを使えばバッチリ決まりますが、モデルさんに立ってもらってそれを描くようなシチュエーション、見本と画用紙に距離がある状態だとモデルを見ながら絵を描いても上手く描けません。また見本がなければなおさらで「記憶の中のドラえもんを描く」みたいなお題は全くダメですね。こういう人も多いんじゃないでしょうか?
それがなぜ起こるかというと『人、ツール、結果』との間で隔たりがあるからですね。全く繋がっていない状態です。

身体は思い通りに動いているか

これは1つ目の壁だと思います。例えばですが、『目を閉じて直線の上をまっすぐ歩く』のが課題だとして、100%満足にできるか?というとこの時点で思い通りにはいかない人が多いような気がします。なぜできないのか考えたことなんて今までなかったのですが、冷静になると不思議です。「白線が見えていないから」できないんでしょうか?これは違います。ガイドは後付けです。本来だったら、まっすぐ足を前に出してまっすぐ体重移動していればできそうですよね。まっすぐ歩くための運動の仕組みを身体でコントロールできていないのが原因だと思います。目を閉じているんだから無理だろうと思うかも知れませんが、歩くときに右足左足を見ながら歩いてる人を見たことはないです。どこを歩くかのガイドを参考に身体を動かしているだけで、身体の動かし方だけに集中すると意外とできていないということです。ギターに置き換えて話すと、腕、手、指、本当にイメージ通り動いてますか?ということです。右を意識すると左が崩壊し、左を意識すると右が崩壊する。お客様を見るとギターをちゃんと扱えない、そんな風にならない仕込みが大事です。

ツールをきちんと使えているか

これは2つ目の壁です。『鉛筆を使って何も参考にしないで円を綺麗に描く』のが課題だとして、できる人とできない人がでてきます。そのためにコンパスが使われているんですね。同様にまっすぐ線を引くことができないから、定規を当てるんですね。これは両手でコントロールが効く道具です。でもギターの場合は弦はギターにくっついているので身体の一部と接続されていません。ピックも身体と離れていますが、直接持つことができるので身体の一部と感じられるまで何度も練習します。それでも、弦はギターの一部、ピックはピック、身体は身体です。身体操作とピックコントロールが思うようにできていて、「ピックの先端をこうやってあてたい」という考えに対してしっかりとピックが自分の一部のように神経が通る感覚で、身体と離れた弦を弾くわけです。試しに身体の一部である指で弾いてみるとわかるのですが、自分の一部だというにも関わらず弦の抵抗に対して指が引っかかり音が満足に出なかったりとか、人差し指はうまく弦にあたるのに中指はうまく弦にあたらないとか色々な問題が発生します。それくらい、初歩の頃はコントロールが難しいです。にも関わらず、実際にピッキングする部分は顔よりも下に位置しているし、弦を押さえる側はステージ側(お客様側)を向いています。プロの演奏家はお客様を見たり、指揮者を見たり、譜面を見たり、カメラ目線をしたりと大忙しです。触っている部分を目で見ていないのにできる感覚をもっています。実際には楽器や手元を覗き込みながら弾いているわけじゃない、そういう意味でギターは難しい楽器です。



できあがりはどうなのか

これは3つ目の壁です。ある時、タレントの武井壮さんが言っていたのですが、「ホームランは野球うまい人でも必ず打てるわけじゃない。目の前の飲み物はこぼすことなく口に注げるのに。なんでだろう?」考えたこともなかったんですが、練習量も膨大で、素人より明らかにうまいのに必ずできるわけじゃない。不思議なことですよね。特に野球の場合は飛んでくるボールは自分が触っているわけでもないし、バットは自分の一部になるくらい練習してもバットの先端までは実際は神経は伝わっていない。また振り抜く瞬間目の前でボールとバットの間を見ているわけでもない。この辺りが関わってくるのかなと思います。テーブルクロス引きなんかもそうですね。まっすぐスパッと引き抜いたらできるのかな?と思って真似したら大惨事になったりします。思ったようにできないことは意外と多いと思います。ギターの場合だと、誰かの演奏動画を見て、手や腕はイメージ通りに動いているのか、弦をまっすぐ捉えることができるのか、ピッキングはコントロールできているのか、などいろいろ参考に鍛えたとしてもわかりにくい部分があります。『速度』『圧』『抵抗』など、演奏してる本人にしかわかっていない数値化しにくい部分があります。そして最終的には『音がかっこいいかどうか』という人の好みの部分に揺さぶりをかけるわけで、ある意味ではホームランを毎回打てるかどうかというレベルで難しいのかもしれませんね。
だからこそ、オススメの楽器としては、『反応が良い』つまり『上手い下手問わず弾いたまま自然に音が出る楽器』だと思うのですが、自然になればなるほど高価になっていく気がしますね。特にアンプを使わないアコースティックはそれが全てな気がするので、一度手が届かない高級なものを試すのもありだと思います。

それでもギターは楽しい

難しいから面白くないわけではないです。これだけ難しいのに面白いわけです。ただ、ここにも触れていない様々な部分(リズム、音感、機材の扱い)なども含めて総合的な楽器だと思うので『なにから始めたらいいんだ?』となると思います。そんな時オススメするのは、まずはやりたいようにやってみることです。やってみて「何か違うな?なんで違うんだろう?」と悩むことで考える力が身についていきます。もちろん自分で考えることが遠回りな場合は誰かに習うのも大事です。自分なりの思考錯誤や参考文献、動画、誰かのアドバイスを聞いたりして克服した頃にもう一度この記事を読むと北島っていうやつがすごく当たり前なことをわざわざ文章にして言っている意味に気がつくと思います。