「ロックが弾きたければブルースをやれ!」が正解な理由

音楽理論の勉強とかけ離れているところにあるのが『ロック』のような気がしていたけど。。。

ギタリスト、ハヤエモニストの北島健吾です。
今回の記事は「ブルースってなにそれ?」っていう人に向けた内容で、マインドとフレージングを上手いこと結びつけようという記事です。
アドリブが苦手な人には参考にしていただきたい内容です。

ただ、その前にちょっと前置きで音楽理論が必要になってきます。



音楽理論の初歩

音楽理論は、まずは図のドレミファソラシをこむずかしく名付けるところから始めます。
名付けてダイアトニックスケール
12半音からドレミファソラシの7つの音を抽出したものです。


ダイアトニックスケールの音を根音(ルート)に置いたトライアド。3度ずつ重ねていくとコードができます。

さらに、もう3度上に重ねるとセブンスコードです。

これらをダイアトニックコードといいます。

また、ダイアトニックコードの中でもコードのキャラクターがあり、それぞれに機能があります。

個性が違うもの同士で引力のように引っ張られているわけです。

キーがCだった場合、Cを主音(トニック)とし、Fを下属音(サブドミナント)、Gを属音(ドミナント)といいます。
キーがCの3コードといえば、C、F、G。
4和音のセブンス系のコードにすると、
CMaj7、FMaj7、G7です。

主音、下属音、属音をルートにしたコードなので、
トニックコード(主和音)、サブドミナントコード(下属和音)、ドミナントコード(属和音)などといいます。

ドミナントからトニックへの動きはとても大事な緊張と緩和の演出をしてくれます。

構成音の動きを見てみると、
G7は(根音、長3度、完全5度、短7度)
長3度と短7度が減5度の関係を作っていて濁っています。
このモヤモヤを解決するような感じで、内声がCの構成音に引っ張られ収まって行きます。
この属和音から主和音への4度進行をドミナントモーションといいます。

またダイアトニックは性質上、全音と半音の関係があり、1つのスケールの中に長調と短調が同居しています。

ドレミファソラシなら長調(メジャー)
ラシドレミファソなら短調(マイナー)

この話は長くなるのでここでは割愛。

長調がわかるとどうなのか

キーCメジャーの曲であればCメジャースケールでアドリブを取ることができます。
各コードのコード構成音を狙って着地するようにすれば簡単にアドリブを取ることができます。

また、ヨナ抜き音階というものがあり、
メジャースケールの4度、7度を抜いた5音をメジャーペンタトニックといいます。

歌謡曲のメロディなどはペンタトニックを主軸とした歌いやすいメロディで構成されていて、
歌うようにアドリブを取りたい人はペンタトニックでまず弾けるようにするといいでしょう。

覚えてもなかなかロックが始まらない

ここまで書いてみましたが(まだ書き足りないくらい色々書くとめんどくさいことがある)
目指すところが『ロック』だと、
理論での頭ごなしの理解はサウンドと噛み合いにくい部分があります。

『ブルージィ』な部分ですね。
もともと、ブルースがバックボーンにある人たちの音楽はダイアトニックスケールやペンタトニックスケールだけでは表現できない奥深さとセクシーさがあります。
そりゃそうです、理論に当てはめてブルースを演奏したわけじゃなくて、
ブルースを研究した人が理論的に解釈しただけなので耳とマインドが育たないと何もできません。

キーCメジャーのブルース、明るいはずのメジャーキーなのにCマイナーペンタトニックで弾くこともできます。むしろ最初はマイナーペンタトニックだけで練習しろと言われたものでした。

キーCメジャーのブルースなら、
C7、F7、G7
「あれ?全部ドミナントコードと同じセブンスコードなの?」
これが初めて触れた時全く意味がわからなかったです。
「考えない方がいいのか?いや、考えたい、まとめたい。」
そう思っているとなかなかまとまらない部分です。
聴いて覚えるしかない、と思っていたのですが、
当時の自分はブルースそのものに全く興味が無くて、いつまでも速弾きがしたかったんです。
手段としてのブルース、そんな感じです。

ブルースの聴き方がわからない

ブルースの名盤をググって買っても自分的にグッと来ないんです。
速くないから。
レイヴォーンのような速いリフ聴いてもちょっと違うなぁと思っていました。
B.B.キングのようなスウィートな音を聴いてもなんか違うと思っていました。
そういう意味では若くしてブルースにハマる才能があるギター勢が羨ましい。

好きになれるっていうのが才能です。
そう、好きこそ物の上手なれです。

じゃあどうやって馴染ませたの?

これは耳コピの量がモノを言う気がします。
幸いにも音楽理論的には、
メジャーペンタとマイナーペンタを結合させたようなスケールがマッチするんだなというところ。
ブルーノートというのがあるのか!
くらいには下地ができていました。
おかしいですよね。
メジャーとマイナーが共存してる。人間の心みたいだ。

あんまり好きじゃなかったブルースですが、
仕事でブルース系の採譜をしていました。
するとどうでしょう、
聴こえてくると徐々に真似ができるようになります。そして饒舌になります。

大事なことを言いますが、「弾けるから採譜できるんじゃなくて、採譜したものから順番に言語になっていく」という過程でした。

才能がある人は自分でのめり込めるけど、
それができなきゃ仕事で覚えるっていう荒療治もあります。




語彙力を増やすのにブルースが推せる理由

音がシンプルです。あとゆっくりです。
むしろ、聴かないといけないのはその表現力の方。
シンプルワードを如何に響かせるか、どうやって装飾するか。
こっちの方が大事な気がします。

例えば、
小学生が元気いっぱいに好きっていうのと、
中学生がモジモジしながら好きというときと、
高校生がこなれた感じで好きっていうのと、
成人男性が肉体言語も混じえて好きを伝えるのと、
やっぱりシチュエーションが違いますからね。
シンプルワードでも顔つきや声のトーン、
時間帯やムード、
色々ありますよね。

ブルースってそういうものだと思うんですよ。

エロいね!セクシーだね!
とか言われてきたらやっと慣れてきたのかな?という感じですね。

それにくらべるとハードロックやヘビーメタルはどうでしょう。
マッチョなリフ弾くね!
これ、褒め言葉な気がしますね。
(メタリカはマッチョだと思います。)

ブルースに興味がない若い人は、これを参考に良ければ聞いてみてくださいね。

長くなりましたが今日はここまで。