音楽理論ーアナライズの練習ー『やわらか湯たんぽの歌』
応用編
ギタリストの北島健吾です。今回の記事は音楽理論を絡めた話をする時の土台としてバックナンバーにするために掲載しました。
やっと応用にやってきました。
メロディックマイナーの話が放置されていますが、ここらで一度コードファンクションを使ってコード進行のアナライズをしてみましょう。
フリー素材の『やわらか湯たんぽ』の曲ができました。
それを使ってアナライズしていきます。
ちなみに、この分析には代理コードの知識も使っているのでまだの方はリンクを読んでください。
手順① まずは曲のサイズと構成を簡単にメモりましょう
これは、音楽にかかわらず大事なことですが、
全体像を把握しておこうというものです。
曲の構成は、上図のようなざっくりとしたもので構いません。(スペースの都合でジグザグしていますが気にしないでください。)
コードが耳コピできてなくても、これがイントロ、これがAメロ、というような構成を書き出しておこうということです。可能であれば小節数も出しておきましょう。
なぜ事前に確認をしておくのかというと、耳コピをしないといけない範囲を狭めるためです。
「こことここ同じだよね?」というところを先に把握しておくと、シンプルに譜面がまとめられます。
頭から順番にやっていくとゴール地点が見えません。
ちなみにCメロというのはいわゆるサビのことです。
手順② キーを把握しましょう
耳コピが終わりました。あるいは、譜面を用意しました。
この段階ではコード進行がわかっている想定ですので譜面の画像を用意しました。
全部のPDFをDLする方は、こちらから。
ほぼ繰り返しですので前半だけ見ていきましょう。
この曲の始まり、イントロの部分はAmで始まっています。
これだけで、キーがAマイナーだ!と決めつけてしまうのは早合点です。
キーを決めるヒントは、ドミナントを探すことです。
それは、ドミナントは基本一つしかないためです。
仮にメジャーキーのダイアトニックを順番に並べると、
ⅠM7 Ⅱm7 Ⅲm7 ⅣM7 Ⅴ7 Ⅵm7 Ⅶm7(♭5)
Ⅳ度とⅤ度はどちらもメジャーコードで、メジャーコードが全音間隔で並んでるところを怪しいと目をつけておくといいです。この場合、FとGが並んでいますね。
マイナーキーの場合は、
Ⅰm7 Ⅱm7(♭5) ♭ⅢM7 Ⅳm7 Ⅴm7 ♭ⅣM7 ♭Ⅶ7
♭Ⅶ7がメジャーキーの時のⅤ7ではありますが、
これだけだとメジャーキーでもいいんじゃないか?となります。
マイナーキーであればⅤm7→Ⅴ7に変えるセカンダリードミナントなどがありますので、
Ⅴ度と♭Ⅵ度の半音間隔、Ⅴがメジャーコードになっていないか気をつけましょう。
この曲では、EとFの半音間隔でメジャーコードが並んでいますね。
今回は、マイナーキーとして見てみましょう。
手順③ ファンクションアナライズ
コードネームの下にファンクションを詰め込んでみました。
これをみて、「ん?」と思う方もいると思いますが、いきなり代理コードの乱用です。
まずマイナーのキーだった場合、
AmとCは代理の関係としてトニックマイナー。
マイナーのサブドミナントマイナーはDmですが、ここでは代理のFが出ています。
そして、GがドミナントマイナーとなっていることについてはEmの代理として見ています。
Amに対する解決として多用はされませんが、G→Cという解決はメジャーキーだったら理にかなっています。そして、CとAmは代理可能なので、結局G→CでもG→Amでも一旦は解決していることになります。
セカンダリードミナントどこに向かってる?
BメロのセカンダリードミナントのEですが、セカンダリードミナントを使ってAmに解決すると見せかけてFに戻っていきます。
このFは、機能としてはサブドミナントマイナーですがAmの代理として見ることができます。代理コードの記事から一部引用。サブドミナントマイナーのFM7として見ても共通音をもったAm7がありますのでE→Amへの解決を匂わせつつもFという感じです。
FM7・・・ファラドミ・・・Am7(ラドミ)、Dm7(ファラド)・・・SD
上に添付してあるオーディオはBメロ部分ですのでりょーたさんが無意識に(!?)使ったセカンダリードミナントで切なさを感じましょう。ぐっときますよね??
手順④ ディグリーアナライズ
ここからは、この曲の構成を他のキーでもやりたいとか、一部パクりたいなどの時に度数でパクるための考察です。
♭Ⅲとか♭Ⅵとかありますが、読むときは3、6、でいいと思います。
クールに決めるなら、『マイナーの1673で』といえばこのサビやイントロの構成です。
この曲最後がCで終わるんですよね。
つまり、マイナー始まりのメジャー終わりなんです。
『湯たんぽに出会うまでのもやもやとした不安や切なさが徐々に解決に向かっていき最終的に明るい気持ちで終わった。』と考察できます。
さすが、天才りょーたさんですね。
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